どんよっく(@donyokku)です
誰しもが一度は考えたことがあるのではないでしょうか。「高級車に乗りたい」、「時間を自由に使いたい」、「指示されずに自分の考えで動きたい」。
しかし、実際に社長になる人は数少ないです。日本の開業率は平均して5%程となっています。この数字は海外と比べると低いです。
なぜ、社長にならないのか。「収入が不安定だから」、「借金を抱えたくないから」など安定した雇用を求める堅実な日本人の性格が出ているのかもしれません。また、その一方でもしかしたら開業(起業)の仕方を知らない人が多いのが理由にあるのではないでしょうか。
学校では就活対策など会社員になる方法は手厚く指導してくれますが、会社を作る方法については学ぶ機会が少ないです。
ですが、「社長」は意外と簡単になることが出来ます。
今回は開業(起業)の方法の中でも敷居が低いと言われる『個人事業』のメリット・デメリットや方法について紹介していきます。
「開業」と「起業」って?
「開業」も「起業」もどちらも「事業を始めること」を意味します。ただ、「起業」は新しいことを始める場面で使われることが多く、対して「開業」は飲食店などといった商売をする場面で使われることが多いです。
今回ご紹介する「個人事業」は、事業を始める過程で税務署に『開業届』というものを提出する必要があります。ここで「開業」という言葉が使われているので、今回は以下、事業をはじめることを「開業」で統一しようと思います。
開業の選択肢は大まかに2種類
独立して開業する際には大まかに2つの選択肢があります。『個人事業』にするか『法人(会社)』にするかです。
簡潔に言うと[対象]が違います。
個人事業の場合、利益を得たり損失を負う対象が「個人」となるのに対して法人の場合は社長個人ではなく「法人そのもの」が対象となります。
「法人」とは?
法律により特に権利能力を認められた組織のことです。「人」と同じような扱いが出来るため、法人として物を売ったり、契約をしたり、時には裁判で訴えられることも…。
この[組織]には「会社」だけでなく「私立学校」や「病院(医療法人)」などもあります。
個人事業を始めるには?
開業届けを出す
個人事業を行う時は税務署に「開業届け」を出します。開業届けを出すことによって屋号(お店の名前)で銀行口座が作れたり、家族への給与も経費にすることが出来ます。
開業できれば(大きさは別として)立派な「社長」です。
開業届けを出したならば、止めるときは「廃業届け」を出す必要があります。
開業届けは必ず出すわけではない
確定申告を行いさえすれば必ずしも開業届けを出す必要はありません。
以前当サイトで、『フリーランス』を紹介しました。
フリーランスは、会社と雇用契約は結ばずに仕事1件単位で契約を結んで収入を得る働き方のことです。個人事業主※と仕事内容は同じようなものですが、フリーランスの中には個人事業登録をしていない人もいます。
※個人事業を行う人のことを「個人事業主」と言います。
個人事業を始めるまでの流れ
-
STEP1事業内容を決める業種を定めて、提供するサービスや販売する商品を決めます。
-
STEP2場所を探す事業を行う場所を探します。例えばお店を出したいのであればその候補となる土地や建物を探します。
-
STEP3資金計画開業資金や運営資金を計算します。また、その金額に伴って自己資金も調べておきます。
資金が足りなければ日本政策金融公庫や民間金融機関で融資を得たり(お金を借りたり)、補助金や助成金を調べ、賄います。 -
STEP4(事業計画書の作成)もし自己資金が足りなく融資を受けたいのであれば「事業計画書」を作りましょう。税務署や役所など開業の手続きには必要ありませんが、融資を得るときに相手にお金を貸してもいいと思ってもらえるように具体的な数字やグラフなど分かりやすく作成しましょう。
日本政策金融公庫のホームページから無料でダウンロードできる「創業計画書」を元にすると作成しやすいです。 -
STEP5場所・屋号・営業時間を決めるどこで開業するのかを決めて契約し、店や会社の名前になる(屋号)を決めます。営業時間も決めておくとあらかじめ告知がしやすくなります。
-
STEP6設備・備品を揃える事業を始めるために必要な設備や備品を揃えます。
-
STEP7宣伝する必要に応じてチラシを配ったりSNS等で宣伝をしましょう。
-
STEP8口座開設・印鑑作成
-
STEP9開業決めていた日付で開業します。(あらかじめ計画していた日に開業が出来るように準備をする必要があります。)
-
STEP10届け出の提出「開業届け」や「事業開始等申告書」など期日以内に届けを出しましょう※。
-
STEP10信憑書類を保管する見積書や納品書、領収書など取引や会計の証拠となる書類を『信憑書類』と言います。こうした信憑書類は一定期間保管しておくことが義務付けられています。
会計ソフトを導入すると請求書や領収書をまとめるのに非常に便利です。
※開業時の届け出書類
開業した時に出さなければいけない届け出は主に4つ(場合によって2つ)あります。
- 開業届け…事業を始めたことを税務署に報告します。開業してから1ヶ月以内に届けなければいけません。
- 事業開始等申告書…事業を始めたことを都道府県税事務所に報告します。期日は地域によりますが15日から1ヶ月以内に届けなければいけません。
- 所得税の青色申告承認申請書…確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類あります。届け出をしない限りは基本的に「白色申告」となりますが、「青色申告」にすることで所得税の控除であったり、損失額を3年後まで差し引けたりといったメリットがあるため、個人事業主は変更することをおすすめします。
開業日から2か月以内、もしくは2年目以降の手続きであればその年の3月15日までに税務署に届けます。
- 青色事業専従者給与に関する届出書…青色申告をしている場合に従業員となっている家族を「青色事業専従者」とすることによって、給与の全額を経費とすることが出来ます。
開業日から2か月以内、もしくは2年目以降の手続きであればその年の3月15日までに税務署に届けます。
「個人事業」として登録するなら上記2つは必ず届け出る必要がありますが、下記2つは「白色申告」のままでも確定申告はできるため必ず必要というわけではありません。しかし控除などのメリットはあるため4つの届け出をセットで行うと考えておいたほうが良いと思います。
個人事業に向いている業務方法
個人事業を始めやすい業務方法をいくつか挙げていきます。
店舗経営
飲食店や雑貨屋など店を構えて商品の販売やサービスの提供を行う方法です。例えば飲食店や美容室で従業員として修業をしてから自分の店をもつなど分かりやすく始めやすい方法だといえます。
コンビニやチェーン店といった有名な企業の名前やシステムを借りる代わりにロイヤリティを納めるフランチャイズも始めやすいです。
╱フランチャイズで独立してみる╲
ネット販売
仕入れた商品をインターネットを通じて販売します。店を構える必要がないため開業コストを安く抑えることが出来ます。最初はオークションサイトやメルカリなど大手の販売サービスを利用して利益を出せる実感を得てから個人事業として始めると失敗のリスクを低くできます。
在宅ワーク(SOHO)
インターネットを通じて自宅など小規模な事務所で仕事をすることを「SOHO」と言います。自宅にいながら仕事ができるメリットがあります。
以前『副業のすゝめ』で紹介したようなWebデザイナーやアフィリエイト、プログラマーといったパソコンがあれば行えるような仕事がおすすめです。
╱Webデザイナーとして在宅ワーク♪╲
やはり自分が経験したことのある職種やコストが少ない方法の方がリスクは少なく始めやすいと言えます。
個人事業のメリット・デメリット
メリット
手続きが楽
最低限、税務署と都道府県税事務所への届け出のみで開業できるため手続きが非常に楽です。
開業に必要なお金は制限がない
もちろん開業するためには店舗を借りたり備品を購入したりとお金は必要ですが、開業するにあたっていくら以上の資金がないとできないという制限はありません。
今後紹介する予定の「法人(会社)」は設立するときに会社法という法律にしたがって登記費用などで数十万円が必要となります。
経営方針を変更できる
自分の判断で経営方針を変更することが出来ます。
個人事業は屋号や業種を変更しても税務署等に変更を届け出る必要はありません。
ただ、確定申告の際には変更した屋号や業種を記載しましょう。
もちろん税務署等で変更する分には問題ないため開業届けを出し直して変更することも出来ます。
利益の分収入になる
基本給が定められている会社員とは異なり利益を出せばその分収入となります。
働く時間を決められる
自分で働く時間や休日を決めることが出来ます。
デメリット
収入が保証されない
利益の分収入は増えますが、会社員と違い収入が不安定になりがちです。
損失は個人で負わなければならない
個人事業の対象は[個人]であるため損失は借金も含めて全て自分の負担となります。
全て負担する責任があることを「無限責任」と呼びます。
対して法人の対象は個人ではないため責任を負うのは出資額までとなります。これを「有限責任」と呼びます。
信用が低い
個人事業は法人と比べて信用が低くなりがちです。
金融機関でお金を借りるときにハードルが高かったり、中には個人事業とは取引をしない会社もあるようです。
累進課税
個人事業は所得が増えるにつれて税金がかかる「超過累進税法」が適用されます。
所得が増えるにつれて税金がかかるのは法人の会社員も同じですが、それに比べると所得が多くなればなるほど個人事業の方が税金の割合が非常に大きいです。
年収が4,000万を越えると45%が税金でとられます。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
–国税庁ホームページより-
対して法人であれば税率は段階が少なく800万円以上は23.2%までとなります※。
※事業開始年や業種(法人の登録種類)によって税率が異なる場合があります。
年収1,000万を越えるくらいから法人とは差が出てくるため、そのくらいに達したら個人事業から法人化にすることを検討した方が良いかもしれません。
(2024/10/10 02:20:14時点 Amazon調べ-詳細)
おわりに
現在はパソコンやスマートフォンを始めとしたIT技術の進化で、資金が無くてもパソコン1台、スマホ1台で開業できる時代になっています。いきなり「会社を作る」というのはハードルが高く、大半の人が「個人事業」から始めています。
起業(開業)にはリスクがありますが、やらないことには始まりません。個人事業は法人化(会社を作る)と比べると手軽に始められることが出来ます。一歩踏み出す勇気を持って一度は夢描いた『社長になりたい』という夢をかなえてはどうでしょうか。
ではまた次回。