どんよっく(@donyokku)です
もし自分が亡くなった時、財産のことで家族が揉めたら嫌ですよね。
最高裁判所によると平成30年には「遺産分割」に関する裁判が約13,000件も発生しています。
自分が亡くなってしまってからのことはどうすることもできない。。。いえ、そんなことはありません。
未然に相続における揉め事を防ぐために『遺言書』を作成しておけば良いのです。
遺言書
遺言書とは自分(遺言者)が亡くなった後に財産をどのように分けるかを記載したものです。規則に従って書き残すことで法的な効力を持ちます。
亡くなっていく人が書くものとして遺言書の他に「遺書」があります。
遺書は死を覚悟した人が書く手紙のことで別れの言葉やプライベートなことなどを書きます。
遺言書とは異なり法的な効力は持ちません。
書き方が法律で定められている
遺言書の書き方は民法で定められていて、その書き方通りに記入しなければ法的な効力は持ちません。
種類
遺言書といってもいくつかの種類があります。基本的なものは「自筆証書遺言」・「公正証書遺言」・「秘密証書遺言」の3つです。
種類 | 内容 |
自筆証書遺言 | 自分で日付・名前・内容を記載し、押印をします。 |
公正証書遺言 | 法的な手続きに従い証明できる人(公証人)が、遺言書を自分の代わりに作成します。自分と公証人以外の証人の署名押印が必要です。作成後は公証役場に保管されます。 |
秘密証書遺言 | 自分で作成した遺言書を封筒などに入れ封印した上で、公証人や他の証人の署名・押印をしたものです。 |
3つの中でも「自筆証書遺言」は自分で書くものであるため、いつでも作成することが出来、一番簡単な方法と言えます。
3つの中でも「公正証書遺言」は公証人を介して作成することが出来、証人の署名や押印もあるため、間違いが起こりにくく、効力の確実性も高いです。
特別な場合
その他にも特別な場合の遺言書も存在します。
特別な場合 | |
一般危急時遺言 | 病気等の理由で自ら署名や押印が出来ない場合に3人以上の証人の立会いの下で遺言を残すことが出来ます。立ち会った証人は代わりに書面を作成し、署名と押印が必要です。 |
難船危急時遺言 | 船が遭難し死の危機が迫った場合に2人以上の立会いの下、口頭で遺言を残すことが出来ます。証人が代わりに書面を作成し、署名と押印をします。 |
船舶隔絶地遺言 | 船にいて外界と隔離されている場合に、船の関係者に加え2人以上の証人の立会いの下遺言書を作成します。本人による作成、署名に加え立会人も署名・押印をします。 |
一般隔絶地遺言 | 病気などで隔離されている人が警察官と証人の立会いの下遺言書を作成します。本人による作成、署名に加え立会人も署名・押印をします。 |
このような特別な場合でも規定に従えば遺言書として効力を発揮します。
今年(2020年)になって流行っている「新型コロナウイルス」を発症し隔離された場合は「一般隔絶地遺言」に当てはまるかもしれませんね。
あくまでも特別な場合であるため、もし遺言書を残したとしても、上記に挙げた基本的な3つの遺言書(「自筆証書遺言」・「公正証書遺言」・「秘密証書遺言」)が書ける状態になってから6か月以上生存した場合は特別な遺言書は効力を発揮しません。
勝手に開封してはいけない
遺言書を発見した人が内容を変更したと疑われる可能性があるため、「自筆証書遺言」と「秘密証書遺言」は勝手に開けてはいけません。家庭裁判所にもっていき、検認済証明書をもらう必要があります。
「公正証書遺言」に関しては公証役場に保管され、偽造の可能性が低いことから家庭裁判所にもっていき検認済証明書をもらう必要はありません。
書き方例
日付や名前、内容などの必要事項の記載や証人の立会いなどの作成の際の規定を守れば、明確な文章の決まりはありません。
遺言書例 |
遺 言 書 私の財産について、死後の争いを生じせしめないために、以下の通り遺言する。 第1条 私の所有する次の財産は、長男 〇〇 ▲▲(住所:東京都千代田区…)に相続させるものとする。 ・ 東京都千代田区…(住所)の土地◇◇㎡ ・ 私名義の預金口座にある預金のうち、金◇◇円。 第2条 私の所有する次の財産は、長女 △△ △△(住所:大阪府大阪市…)に相続させるものとする。 ・ 私名義の預金口座にある預金のうち、金◇◇円。 第3条 上記各条以外の財産は、すべて妻 〇〇 ××(住所:愛知県名古屋市…)に相続させる。 なお、妻が私より以前に死亡したときは、上記各条以外の財産はすべて長男の〇〇 〇〇に相続させる。 第4条 遺言執行者※には下記の者を指名する。 住所 愛知県名古屋市… 氏名 ☆☆ ☆☆
本日以上のように遺言し、全文を自書で書き、署名押印する。 令和〇年〇月〇日 愛知県名古屋市… 遺言者 ○○ ○○ 印 |
パソコンではなくて自筆で作成しましょう
※遺言者は遺言内容を実現するための手続きをとる「遺言執行者」を定めることが出来ます。相続人以外の人であれば遺言執行者になることが可能です(未成年者は不可)。誰でもなれると言っても責任感のある役であるため、弁護士などの専門家が遺言執行者になる場合が多いようです。
他にも「遺言書 書き方例」などで検索すると、例文が載っていたりダウンロードできるサイトもあります。
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効力のある内容
遺言書に書く内容として効力があるものを挙げていきます。
遺言執行者の選定
上記の遺言書例のように「遺言執行者」を定めることが出来ます。
相続分配
誰に遺産の何%を相続するかの割合を記すことが出来ます。
相続人の廃除
遺言者が相続人から虐待や侮辱を受けていた場合に、その人の相続権を無くすことが出来ます。
第三者に分配の決定権を持たせる
遺産の分配を第三者に委託することが出来ます。
遺産分配開始時の選定
5年以内であれば遺産を分配する時期を定めることが出来ます。
財産を送る
第三者や団体に財産を送ることが出来ます。
隠し子の認知
隠し子の存在を認め、財産を相続させることが出来ます。
後見人の選定
相続人が未成年である場合に、第三者を後見人として選び、財産の管理を任せることが出来ます。
保険金受取人を変更
保険金の受取人を遺言書によって変更することが出来ます。
銀行で遺言書が作成できる
信託銀行などでは遺言書の作成や保管、執行を行う「遺言信託」というサービスを提供している場合があります。
お金や株券、不動産の権利書などを保管できる銀行が遺言書を管理してくれることにより相続がスムーズになります。
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STEP1遺言書作成時には弁護士や会計士などの専門家も交えて公正証書遺言を作成します。
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STEP2銀行で保管公正証書遺言や遺産の対象である株券や不動産権利書なども一緒に銀行で保管することが出来ます。
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STEP3遺言書の通知前もって伝えていた届出人が相続の時を銀行に伝え遺言書を確認します。
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STEP4遺言執行銀行は遺言書に基づいて遺産の分配など相続を執行します。
おわりに
法律で相続が出来る人(法定相続人)や分配割合が定められているため遺言書が無くても遺産を相続することが可能です。
しかし、分配割合を変更したり法定相続人以外から遺産を与える人を選ぶ際に『遺言書』は有効となってきます。
揉め事を起こさないためにも亡くなった後のことも含めて将来について考えていく必要があるかもしれませんね。
ではまた次回。